通関士の仕事は、通関業者が行なっている貿易業務の1つである、通関手続きが主な仕事です。
通関業者が行なえる通関業務の範囲は、以下の4つがありますが、実際には、このほとんどが所属している通関士の仕事になります。
1.通関手続きと書類作成の代行
貨物を輸入、または輸出するときは、税関の許可をもらうために、輸出入の申請書が必要になります。
この申請書は貨物の名称だけでなく、あらかじめ決められたルールによって、細かく分類しなければなりません。
その上で、貨物の個数、価格から関税や消費税を計算することになります。通関士は、この書類を作成、チェックして税関に提出するのが、メインの仕事になります。
実際の仕事では、申請書は「NACCS」と呼ばれるネットワーク上の、通関情報処理システムを利用して、コンピューターで税関に送信されます。
そして、貨物に添付されていた商品明細が記載された書類(インボイス)を、税関に直接提出します。
また、税関からなかなか輸出入の許可がおりない場合は、税関に出向いて交渉するのも通関士の仕事の1つです。
この交渉で、書類や手続き(例:日本の法律で定められている許認可)が必要だとわかった場合は、輸出入元の会社や製造元に直接、連絡を取り、なるべく早く輸出入できるよう手配することもあります。
通関手続きは、1つでもミスがあると税関から、許可をもらうことができませんので、通関士は非常に重要な仕事といえるのです。
2.貿易のアドバイザー
上記以外に通関士には、貿易のアドバイザー(コンサルタント)の仕事もあります。
通関士が所属している通関業者は、倉庫業や運搬業などを兼業しているのが一般的ですから、様々な面でアドバイスできます。
例えば、貨物の効率的な配送、保管の方法から、短時間でスムーズに税関を通す方法など、総合的なバックアップが可能です。
また、輸入品が日本国内の法律の許可や認可が必要ないか確認するときも、通関士の経験や専門的知識が、求められます。
その他の仕事として、輸入元の採算を検討するときの重要なポイントとして、関税の税額を正確に計算する、仕事などもあります。
3.不服申し立ての代理・代行
不服申し立てというのは、正規の手続きをしているのに、税関から輸出入の許可がもらえなかったり、なんらかの行政処分を受けたときに、税関に対して異議申し立てができる権利です。
不服申し立てによっても、トラブルが解決しなかったときは、財務大臣に「審査請求」する権利も、認められています。通関士(通関業者)は、これらのことを代行する仕事もしています。
(*ちなみに一般的の貿易で、不服申し立てなどの事態になることは、ほとんどありませんが。)
4.主張または陳述の代行
上記の、不服申し立ての代理・代行と同時に、輸出入元の会社の立場で、不服申し立ての主張や意見、根拠を述べることができます。
つまり、貿易上で、税関とトラブルがあった場合は、輸出入元の会社に代わって、解決する権限が認められている仕事なのです。